西周時代 諸侯一覧(1)
夏曾佑の『中国古代史』が清代・顧棟高の『春秋大事表五』を引用しています。周代の諸侯の一覧です（後ろの方には夏・商時代の封国も記載されています）。
古い資料なので現在では否定されている部分もあるかもしれませんが、参考資料として簡単に紹介します（元の史料には存滅の年と国都の地名が書かれていますが、ここでは省略します。）。
上段左から国名・爵位・始封者、下段は注記です。
魯 侯爵 姫姓 周公の子・伯禽
曲阜に建国。 楚に滅ぼされる。
蔡 侯爵 姫姓 文王の子・叔度
蔡に建国。平侯が新蔡に遷都。昭侯が州来に遷都。楚に滅ぼされる。
曹 伯爵 姫姓 文王の子・叔振鐸
陶丘に建国。宋に滅ぼされる。
衛 侯爵 姫姓 文王の子・康叔封
朝歌に建国。戴公が廬曹に遷都。文公が楚丘に遷都。成公が帝丘に遷都。秦代、二世皇帝に滅ぼされる。
滕 侯爵 後に子爵 姫姓 文王の子・叔繍
斉、または宋に滅ぼされる。恐らく、宋に滅ぼされるが、宋が斉に滅ぼされたため斉地になる。
晋 侯爵 姫姓 武王の子・叔虞
大夏に建国。燮父が国号を晋とし、穆侯が絳に遷都。孝侯が絳を翼に改める。また、故絳という。景公が新田に遷って絳と称す。戦国時代、魏・韓・趙に滅ぼされる。
鄭 伯爵 姫姓 厲王の子・友
旧都は咸林。武公が溱洧に遷る。韓に滅ぼされる。
呉 子爵（『国語』によると本来は伯爵） 姫姓 太王の子・太伯
梅里に建国。諸樊が呉に南遷。闔閭が大城を築いて都にする。越に滅ぼされる。
薊に建国。秦に滅ぼされる。
斉 侯爵 姜姓 太公尚父
営丘に建国。田氏が簒奪する。
秦 伯爵 嬴姓 伯益の後代・非子
荘公が故西犬丘に遷都。寧公が平陽に遷都。徳公が雍に遷都。始皇帝が天下を統一する。
楚 子爵 羋姓 顓頊の後代・熊鐸
丹陽に建国。武王が郢に遷都。昭王が一時遷都するが郢に戻る。秦に滅ぼされる。
宋 公爵 子姓 殷の後裔・微子啓
商丘に建国。斉に滅ぼされる。
杞 公爵 後に伯爵、または子爵 姒姓 禹の後裔・東楼公
雍丘に建国。成公が縁陵に遷都。文公が淳于に遷都。雍丘の地は宋に入るが年は不明。杞は楚に滅ぼされる。
陳 侯爵 嬀姓 舜の後裔・胡公
宛丘に建国。楚に滅ぼされる。
薛 侯爵 後に伯爵 任姓 黄帝の後裔・奚仲
詳細不明。一説では斉に滅ぼされる。
邾 子爵 元は附庸国 曹姓 顓頊の後裔・挟
文公が鐸に遷都。後に国号を鄒に改める。楚に滅ぼされる。
莒 子爵 己姓 茲輿期
旧都は介根。春秋初期、莒に遷都。楚に滅ぼされる。
小邾 子爵 元は附庸国 曹姓 邾公の子・友
郳に建国。楚に滅ぼされる。
許 男爵 姜姓 伯夷の後裔・文叔
霊公が葉に遷都。悼公が夷に遷都。夷は城父という。後に葉に還り、析に遷る。析は白羽という。許男・斯が容城に遷都。鄭に滅ぼされるが、楚によって復国され、後に楚に滅ぼされる。
宿 男爵 風姓 太皞の後裔
宋人が宿国を遷し、後に斉の邑になる。
祭 伯爵 姫姓 周公の子
詳細不明。
申 侯爵 姜姓 伯夷の後裔
謝に建国。後に楚の邑になる。
東虢 爵位不明 姫姓 文王の弟・虢仲
春秋時代以前に鄭に滅ぼされ、制邑になる。
共 伯爵 姓・始封者不明
春秋時代、衛の地になる。
紀 侯爵 姜姓 始封者不明
斉に滅ぼされる。
夷 妘姓以外、詳細不明。
西虢 公爵 姫姓 文王の弟・虢叔
虢に建国。平王の東遷に従って上陽に封じられる。故都に残った者を小虢という。西虢は晋に滅ぼされ、小虢は秦に滅ぼされる。
向 姜姓以外、詳細不明。
極 附庸国 姫姓 始封者不明
詳細不明。
邢 侯爵 姫姓 周公の子
邢に建国。後に夷儀に遷都。衛に滅ぼされる。
郕 伯爵 姫姓 文王の子・叔武
詳細不明。
詳細不明。
凡 伯爵 姫姓 周公の子
詳細不明。
戴 爵位不明 子姓 始封者不明
宋に滅ぼされるが年不明。
息 侯爵 姫姓 始封者不明
息に建国。楚に滅ぼされて息邑になる。
郜 子爵 姫姓 文王の子
詳細不明。
芮 伯爵 姫姓 始封者不明
秦に滅ぼされる。
魏 爵位不明 姫姓 始封者不明
魏に建国。晋に滅ぼされ、畢万の邑になる。
州（後述の州とは別） 公爵 姜姓 始封者不明
淳于に建国。後に杞の地となり、杞が都とする。
随 侯爵 姫姓 始封者不明
詳細不明。
穀 伯爵 嬴姓 始封者不明
穀に建国。後に楚の地に入る。
鄧 侯爵 曼姓 始封者不明
楚に滅ぼされる。
黄 爵位・姓不明 恐らく伯益の末裔
楚に滅ぼされる。
巴 子爵 姫姓 始封者不明
巴に建国。楚に滅ぼされる。
鄾 子爵 姓・始封者不明
楚に滅ぼされるが年不明。
次回に続きます。
