文献紹介

『通史』に使用する文献を簡単に紹介します。

正史
史記』『漢書』『後漢書』『三国志』等、いわゆる正史とされている書籍から、「本紀」をほぼ全訳します。春秋戦国時代は『史記』の「世家」と「十二諸侯年表」「六国年表」も参考にしました。
 
『帝王世紀』
東漢から三国魏を経て西晋時代まで生きた皇甫謐による史書です。
天地開闢から漢魏にいたる帝王の世系がまとめられており、特に三皇五帝に関して詳しい紹介がされています。
私の『通史』では神話・伝説時代三皇五帝時代)の主な史料になります。
  
『竹書紀年』(別名『汲冢紀年』)
春秋時代・晋国と戦国時代・魏国の史官によって書かれた編年体通史です。西晋時代に発掘されました。
五帝から始まり、戦国時代・魏に至るまでの出来事が書かれています。『史記』等の伝統的な史書とことなる内容も多く、戦国時代以前の歴史を語る上では欠かせない存在となっています。
『今本竹書紀年』と『古本竹書紀年』の二種類がありますが、『今本』は偽書(後世に偽造された書)ともいわれています。
私の『通史』では五帝から戦国時代にかけて、『今本』『古本』とも参考に使います。
  
資治通鑑外紀』(及び『目録』)
北宋の劉恕によって書かれた編年体史書です。司馬光が編纂した『資治通鑑』は戦国時代から始まるため、それ以前を補うために書かれました。
天地開闢から戦国時代初期までの歴史が書かれています。
『目録』は年表になります。
私の『通史』では部分的に抜粋することになると思います。
  
資治通鑑前編』(及び『挙要』)
宋末元初の金履祥によって書かれた編年体史書です。『資治通鑑外紀』が『春秋左氏伝』を疎かにして『国語』の記述を重視していたことに不満だった著者が、改めて『資治通鑑』の前の時代を編纂しました。
帝堯から戦国時代初期に至る歴史が書かれています。
『挙要』は年表のような存在です
私の『通史』では部分的に抜粋することになると思います。
  
『春秋左氏伝』
作者は左丘明とされていますが、異説もあります。戦国時代に書かれた春秋時代を扱う史書です。
私の『通史』では春秋時代の記述をするにあたってほぼ全訳(意訳)します。
参考にしたのは楊伯峻の『春秋左伝注』です。春秋時代の記述で、数字による日付がある個所(例えば「三月甲子(初十日)」の(初十日)等)は『春秋左伝注』を元にしています。

『国語』
作者は一般的には左丘明といわれていますが、諸説があります。
西周から春秋時代にかけて主要国で記録された言論(諫言、風刺、弁論等)をまとめた書です。周語・魯語・斉語・晋語・鄭語・楚語・呉語・越語というように国ごとに篇が立てられています。この形式を「国別体」といいます。
私の『通史』では西周時代から春秋時代に抜粋します。
   
北宋司馬光の監修によって編纂された編年体史書です。戦国時代から秦漢、魏晋南北朝、隋唐、五代を経て北宋が統一するまでの長い歴史が書かれています。
私の『通史』では戦国時代以降の記述でほぼ全訳(意訳)することになると思います。
翻訳に当たって中華書局『白話資治通鑑』を参考にしました。 戦国時代以降の記述で、数字による日付がある個所(例えば「三月甲子(初十日)」の(初十日)等)は『白話資治通鑑』を元にしています。

この他にも『戦国史』『中国歴代戦争史』『中国歴史地図集』等、近現代の史書も参考にします。
史記』を読むにあたっては清代の梁玉縄が書いた『史記志疑』の役割が大きいです。

 
私の『通史』は政治史が中心なので、経済、文化、芸術といった方面がおろそかになります。例えば中国の詩賦等は独特な発展を遂げてきましたが、ほとんど触れることはありません。私の能力もそこまで手が届きません。
あくまでも政治的な内容(政変、戦争、外交等)の通史になります。
また、考古学的な発見や異なる史書に残された記述との検証も本来は必要とするところですが、それらに足を踏み入れると先に進めなくなるので、あくまでも上述の史書に書かれた内容を紹介することになります。
歯がゆいところ、片手落ちと思うところも多々あると思いますが、それは別の機会に研究していきたいと思います。


史書の種類を簡単にまとめました。

史書の種類(中国史)