東周列国志
明朝中期の余劭魚が『列国志伝』を書き、明朝末期の馮夢龍が『列国志伝』を基礎にして『新列国志』を編纂し、清代の蔡元放が更に改編して『東周列国志』を完成させました。
あくまでも小説なので鬼神妖異の類が登場したり、史実とは異なる個所もありますが、春秋戦国時代の流れを理解する助けになると思うので、訳していこうと思います。
但し、本文に忠実な完訳ではなく、なるべく分かりやすい意訳・簡訳に努めるつもりです。
例えば本文中にはしばしば詩が出てきますが、省略しても話の流れに影響が出ない場合は全て省略します。
一例を挙げます。
第二回で西周宣王を称える詩として
於赫宣王,令徳茂世。威震窮荒,変消鼎雉。
外仲内姜,克襄隆治。幹父之蠱,中興立幟。
が紹介されていますが、私の訳では詩の面白さを伝えることができず、また、省略しても文脈に影響はないので、割愛しました。
また、漢文としての表現をいちいち訳していくと、非常にくどくなることがあるので、場合によっては簡単な表現に置き換えます。
これも一例を挙げます。
宣王が狩猟に行く時、「旌旂対対,甲仗森森」という描写があります(第一回)。
「旌」は羽毛で装飾された旗、「旂」は旗竿の上に鈴があり、龍が描かれた旗です。「対対」というのは恐らく二種類の旗が対になって連なっている様子だと思います。
「甲仗」は甲冑を着て武器を持った衛士で、「森森」は無数の衛士が集まっている様子です。
しかし一文字一文字を細かく訳していたら文字の解説だけで終わってしまうので、「多数の旗をなびかせ、甲冑で身を包んだ無数の衛士を率いて」と訳しました。
このように、私の訳はあくまでも意訳・簡訳なので、原文の雰囲気が伝わらない場面もあるかもしれません。ここで『東周列国志』に触れてみて、もしも興味を持つようになったら、やはり原著に触れてみることをお勧めします。
尚、私が参考にしているのは華夏出版社(中国)の『東周列国志』です。
簡訳『東周列国志』は本編との同時進行になるので、更新が遅くなることが予想されますが、最後まで続けたいと思います。
次回は第一回です。
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