東周列国志

第百八回 六国を兼併して輿図を統一し、始皇を号して郡県を建立する(後篇)

*今回は『東周列国志』第百八回後篇です。 秦王政二十六年、六国が秦によって併合され、天下が統一されました。 秦王は六国がそろって王号を称していたため、王の名が尊くないと思って帝号に改めようとしました。しかしかつて東西二帝について議論されたこ…

第百八回 六国を兼併して輿図を統一し、始皇を号して郡県を建立する(中篇)

*今回は『東周列国志』第百八回中篇です。 王翦は楚を滅ぼしてから兵を率いて咸陽に還りました。秦王は黄金千鎰を下賜します。王翦は告老(引退)して頻陽に帰りました。 秦王は王翦の子・王賁を大将に任命し、遼東の燕王を攻撃させました。 秦王が王賁に命…

第百八回 六国を兼併して輿図を統一し、始皇を号して郡県を建立する(前篇)

第百八回 六国を兼併して輿図を統一し、始皇を号して郡県を建立する (兼六国混一輿図 号始皇建立郡県) *今回は『東周列国志』第百八回前篇です。 王翦が李信に代わって大将になり、六十万の兵を率いて楚討伐を宣言しました。 楚の項燕は東岡を守って秦軍…

第百七回 荊軻が秦庭を騒がし、王翦が李信に代わる(後篇)

*今回は『東周列国志』第百七回後編です。 当時の魏では景湣王が既に死に、太子・假が即位して三年が経っていました。 秦が燕を攻めた時から、魏王・假は大梁の城を増築しており、内外に深い溝(濠)を巡らせて守備を固めていました。また、斉と結ぶために…

第百七回 荊軻が秦庭を騒がし、王翦が李信に代わる(中篇)

*今回は『東周列国志』第百七回中編です。 秦の法では、殿上で王に仕える群臣は尺寸の兵器も持ってはならず、郎中や宿衛の官は兵戈を持っていましたが、全て殿下に並んでおり、宣召(王の招き)がなければ勝手に入殿するわけにはいきませんでした。 今回、…

第百七回 荊軻が秦庭を騒がし、王翦が李信に代わる(前篇)

第百七回 地図を献じて荊軻が秦庭を騒がし、兵法を論じて王翦が李信に代わる (献地図荊軻鬧秦庭 論兵法王翦代李信) *今回は『東周列国志』第百七回前編です。 荊軻は日頃から人と剣術について論じていましたが、立派だと認められる人物はなかなかいません…

第百六回 王敖が李牧を殺し、田光が荊軻を薦める(後篇)

*今回は『東周列国志』第百六回後編です。 太子・丹は田光が来たと聞くと自ら宮殿を出て迎え入れました。轡を持って田光の下車を手伝い、先導するために後ろ向きに歩いて田光を宮内に連れて行きます。 部屋に入ると再拝して敬意を尽くし、跪いて席を払いま…

第百六回 王敖が李牧を殺し、田光が荊軻を薦める(中篇)

*今回は『東周列国志』第百六回中編です。 秦兵が邯鄲を包囲しました。顏聚が兵を全て集めて抵抗します。 趙王・遷は恐れて隣邦に援軍を求める使者を送ろうとしました。しかし郭開がこう言いました「韓王は既に秦に入って臣となり、燕も魏も自分を守るのが…

第百六回 王敖が李牧を殺し、田光が荊軻を薦める(前篇)

第百六回 王敖が反間によって李牧を殺し、田光が刎頸して荊軻を薦める (王敖反間殺李牧 田光刎頸薦荊軻) *今回は『東周列国志』第百六回前編です。 趙王遷五年、代の中部で地震があり、大半の建物が倒壊しました。平地が百三十歩も裂けて邯鄲も大旱に襲わ…

第百五回 茅焦が秦王を諫め、李牧が桓齮を退ける(後篇)

*今回は『東周列国志』第百五回後編です。 趙王が群臣を集めて共議すると、群臣はこう言いました「昔年、廉頗だけが秦兵を防ぐことができました。龐氏も楽氏も良将と称されていましたが、龐煖は既に死に、楽氏にも人がいません。廉頗だけがまだ魏国にいます…

第百五回 茅焦が秦王を諫め、李牧が桓齮を退ける(中篇)

*今回は『東周列国志』第百五回中編です。 楚国上蔡の人・李斯という者がいました。名賢・荀卿の弟子で広く学問があり、かつて秦国に周遊して呂不韋の舍人になりました。後に呂不韋がその才能を推挙したため、秦王が客卿に任命しましたが、今回、「逐客令(…

第百五回 茅焦が秦王を諫め、李牧が桓齮を退ける(前篇)

第百五回 茅焦が衣を解いて秦王を諫め、李牧が壁を堅くして桓齮を退ける (茅焦解衣諫秦王 李牧堅壁却桓齮) *今回は『東周列国志』第百五回前編です。 秦の大夫・陳忠が死んでからも秦王に諫言する者は絶えませんでした。秦王はことごとく殺戮して死体を闕…

第百四回 甘羅が高位を取り、嫪毐が秦宮を乱す(後篇)

*今回は『東周列国志』第百四回後篇です。 腐刑を偽って宦者の姿になった嫪毐は内侍に混ざって太后に進められました。太后は嫪毐を宮中に留めて身辺に侍らせます。 夜、太后が嫪毐に侍寝を命じて試してみると、大いに欲求を満足させ、呂不韋の十倍も勝ると…

第百四回 甘羅が高位を取り、嫪毐が秦宮を乱す(中篇)

*今回は『東周列国志』第百四回中篇です。 呂不韋は府中に帰って一人で堂上に座り、悶々としていました。 門下の客に甘羅という者がいました。甘茂の孫ですが、この時はまだ十二歳です。呂不韋が喜ばない様子を見て、進み出て問いました「あなたの心中には…

第百四回 甘羅が高位を取り、嫪毐が秦宮を乱す(前篇)

第百四回 甘羅が童年で高位を取り、嫪毐が腐を偽って秦宮を乱す (甘羅童年取高位 嫪毐偽腐乱秦宮) *今回は『東周列国志』第百四回前篇です。 王翦は兵を十里退けてから、溝(濠)を深くして塁壁を高くするように命じました。険阻な地形に兵を分けて守りを…

第百三回 李国舅が黄歇を除き、樊於期が秦王を討つ(後篇)

*今回は『東周列国志』第百三回後編です。 長安君・成嶠はまだ十七歳で軍務に精通していなかったため、樊於期を招いて相談しました。樊於期は以前から呂不韋が妾を納めて国を盗んだ事を嫌っていたため、左右の人払いをしてから成嶠に詳しく経緯を説明し、こ…

第百三回 李国舅が黄歇を除き、樊於期が秦王を討つ(中篇)

*今回は『東周列国志』第百三回中編です。 翌日、春申君が李園を招いて計画を伝え、秘かに李嫣を府中から出して別の舍(家)に住ませました。 その後、黄歇が入朝して楚王に言いました「臣は李園に嫣という妹がおり、美色があると聞きました。相者(人相を…

第百三回 李国舅が黄歇を除き、樊於期が秦王を討つ(前篇)

第百三回 李国舅が権を争って黄歇を除き、樊於期が檄を伝えて秦王を討つ (李国舅争権除黄歇 樊於期伝檄討秦王) *今回は『東周列国志』第百三回前編です。 龐煖は燕を破った威勢に乗じて列国と合従し、協力して秦に対抗しようとしました。 秦に附いている…

第百二回 信陵が蒙驁を敗り、龐煖が劇辛を斬る(後篇)

*今回は『東周列国志』第百二回後編です。 秦王政四年十月、蝗蟲が東方から飛んできて天を覆いました。禾稼(農作物)が収穫できず、疫病も流行します。 呂不韋が賓客と議して政令を発しました。百姓に粟を納めさせ、千石を納めたら爵一級を与えると約束し…

第百二回 信陵が蒙驁を敗り、龐煖が劇辛を斬る(中篇)

*今回は『東周列国志』第百二回中編です。 秦王は信陵君が来ないと知って計画の失敗を悟り、心中で激怒しました。 蒙驁が秦王に密奏しました「魏の使者・朱亥は鎚で晋鄙を撃った人物です。魏の勇士なので秦に留めて用いるべきです。」 秦王は朱亥に官職を与…

第百二回 信陵が蒙驁を敗り、龐煖が劇辛を斬る(前篇)

第百二回 華陰道で信陵が蒙驁を敗り、胡盧河で龐煖が劇辛を斬る (華陰道信陵敗蒙驁 胡盧河龐煖斬劇辛) *今回は『東周列国志』第百二回前編です。 顔恩は信陵君に会えず、賓客も協力しないため、成す術がなくなりました。 ちょうどそこに博徒の毛公と売漿(…

第百一回 秦王が周を滅ぼし、廉頗が燕を敗る(四)

*今回は『東周列国志』第百一回その四です。 話はまた秦に戻ります。 秦昭襄王が即位して五十六年が経ちました。年も七十に近づきます。 その年の秋、昭襄王が病を患って死にました。 太子の安国君・柱が即位しました。これを孝文王といいます。趙女(趙姫…

第百一回 秦王が周を滅ぼし、廉頗が燕を敗る(三)

*今回は『東周列国志』第百一回その三です。 話は燕に移ります。 燕昭王が復国してから在位三十三年で恵王に位が伝えられました。その後、恵王は在位七年に死んで武成王に位を伝え、武成王は在位十四年で死んで孝王に位を伝え、孝王は在位三年で死んで燕王…

第百一回 秦王が周を滅ぼし、廉頗が燕を敗る(二)

*今回は『東周列国志』第百一回その二です。 この頃、燕人で蔡澤という者がいました。博学で弁舌の才があり、とても自信を持っていましたが、敝車(粗末な車)で諸侯を巡って遊説を続けても相応しい君主との出会いがありません。 大梁に至った時、人相を観…

第百一回 秦王が周を滅ぼし、廉頗が燕を敗る(一)

第百一回 秦王が周を滅ぼして九鼎を遷し、廉頗が燕を敗って二将を殺す (秦王滅周遷九鼎 廉頗敗燕殺二将) *今回は『東周列国志』第百一回その一です。 秦の鄭安平が兵を率いて魏に降りました。応侯・范雎は薦主(鄭安平を推挙した者)だったため、法に則る…

第百回 魯仲連が秦帝に肯かず、信陵君が符を盗んで趙を救う(後篇)

*今回は『東周列国志』第百回後編です。 信陵君が賓客を率いて士卒より先に進み、秦営を攻撃しました。 王齕は魏兵に不意を突かれ、慌てて抵抗します。 魏兵が勇敢に前進しすると、平原君も城門を開けて呼応しました。一場の大戦で王齕は兵の半分を損ない、…

第百回 魯仲連が秦帝に肯かず、信陵君が符を盗んで趙を救う(中篇)

*今回は『東周列国志』第百回中編です。 新垣衍が去ってから、平原君が再び人を送って鄴下に駐留している魏将・晋鄙に救援を求めました。しかし晋鄙は王命があるため拒否します。 そこで平原君は信陵君・無忌を譴責する書を送りました「勝(私)があなたに…

第百回 魯仲連が秦帝に肯かず、信陵君が符を盗んで趙を救う(前篇)

第百回 魯仲連が秦の帝に肯かず、信陵君が符を盗んで趙を救う (魯仲連不肯帝秦 信陵君竊符救趙) *今回は『東周列国志』第百回前編です。 呂不韋は王孫・異人と共に秦王を辞して咸陽に入りました。 事前にこの事を太子・安国君に報せた者がいたため、安国…

第九十九回 武安君が杜郵で死に、呂不韋が異人を帰らす(四)

*今回は『東周列国志』第九十九回その四です。 呂不韋はかつて邯鄲の美女を娶りました。趙姫といい、歌舞が得意です。趙姫が妊娠して二カ月が経ったと知ると、心中に一計を生じてこう考えました「王孫・異人が国に帰ったら必ず継立の分(王位を継承する名分…

第九十九回 武安君が杜郵で死に、呂不韋が異人を帰らす(三)

*今回は『東周列国志』第九十九回その三です。 呂不韋は更に五百金で奇珍玩好(珍宝玩具)を購入しました。 やがて公孫乾に別れを告げて秦都・咸陽に行きます。 呂不韋は華陽夫人に姉がおり、秦に嫁いでいると知りました。そこでまず姉の家人に賄賂を贈り、…